田舎暮らしに刈払機は必須アイテムです

20年近く前の話。

田舎に350坪の土地を買い、格好良い家を不動産屋のSさんに建ててもらい、ご近所さんにも挨拶をして、まさに田舎暮らしを始めた最初の頃。

広すぎる庭をどうにか格好良くせねばと思いつつ、せめて家の前だけでも芝生を植えようと思った時のこと。

ホームセンターで芝生をたくさん買ってきた時に事件は起こりました。

 

謎の老人との出会い

田舎暮らしを始めた当時は、「あれもこれもやってみよう!」と張り切ってますから、毎日というくらい庭に出てました。

疲れたなあと、ひと息ついて、鍬を杖がわりに「ボーっ」としていると、たびたび家の前の道路にセダンがちらちらと見えました

がらの悪そうなヤンキーセダンではないので、きっと近所の人かなあと思いました。

 

でも、けっこう頻繁にウチの前でスピードを落とし、場合によっては少し停車するのです。

運転手がこっちを見ているような気もします。

 

そして、家の前で車を止めて少し止まって様子を見ていたかと思うと、さっと走り去っていきます。

いつも誰だろうと思っていたんですが、ある時、道路沿いで作業をしていると、また現れたので挨拶しておこうと思いました。

 

近くに行くと目があいました。

どうも、60~70歳くらいの「おじいさん」のようです。

おじいさんと呼ぶのは、当時はまだ失礼だったかもしれませんが、とりあえず、会釈をしてやり過ごしました。

そして会釈をした次の日くらいでしょうか、庭で芝生を植えていると、そのおじいさんがウチにやってきたのです!

 

なんと、元・校長先生だった!

つかつかと近くにやってきまして、ちょっと怖そうな感じの「おじいさん」です。

そんなに愛想は良くなさそうです。

でも、ちゃんとした身なりをしています。

田舎によくいる「土で汚れた服と無精ひげ、農協キャップの爺さん」って感じではありません。笑

 

何の用事かわからないけど、とりあえず、挨拶せねば!

「はじめまして、引っ越してきた○○です。」

「おう、芝生を植えてるのか?」

「はい、そうなんです。」

「そんなんじゃだめだよ、ちょっと貸してみろ。」

なーんて感じで、芝生を植えるのを手伝ってくれたのです!

 

なんだ、怖そうな感じだけどいい人じゃないか、そう思いました。

で、しばらく芝生の作業をしていたときに、おじいさんがこういうのです。

「おれは小学校の校長やってたんだよ。」

「へーそうなんですかー、すごいですねえ!」

それ以来、おじいさんのことを「校長先生」と呼ぶことにしました。笑

 

校長先生は芝生のプロ

ところで、校長先生の芝生の植え方はちょっと違います。

自分はホームセンターで買ってきた芝生をそのまま地面に置いて、踏み鳴らして終わりでした。

それをみて、一言。

「そんなの芝生を植えてるんじゃなくて、芝生を置いてるだけじゃないか。苦笑」

まあ確かにそうです。

 

でも、他にどうしろというんでしょう?

と思っていたら、「どこからどこまで植えたいんだ?」と聞かれたので、ここからこの辺までですと答えます。

そうしたら、なんと、芝生をほぐし始めたんです。

ホームセンターで売ってる、ばら売りのカーペットのように四角い芝生の土を落として、さらにほぐしてバラバラにしてしまったんです

そして、植える範囲を全体的に耕していきます。

 

そして、どうするんだろうと思ってたら、ほぐした芝生を半部くらい土に埋めるような感じで植えていったんです。

すごい大変な作業です。

 

でも、こうすれば少しの芝生の量で、庭の広い範囲をカバーできますので、節約になります。

なるほど、さすが校長先生!

全体が緑になるまで時間はかかるけど、引っ越したばかりでお金もないし、これは「いいことを聞いた」と思いました。

 

芝生も植物ですからね。

ばらして一本ずつ植えてもOKですよね。

でも、面倒くさいし結構疲れますよねー。。。苦笑

 

「先生、すごいですね。でもこれすごい大変ですよね!」

「なに言ってるんだこれくらい、俺が手伝ってやってるんだから、お前も早くやれ!」

「はい、やります!」

というわけで、芝生を二人で植え始めました。

 

芝生を植えるだけで酸欠になる

しかしこれ、何が大変かというと、耕すのがけっこう辛いんです。

あの時は10月くらいでしたでしょうか。

そんなに暑い日ではなかったのですが、

ハードな運動をしているようでした。

 

そりゃそうですよね、今までサラリーマンしてて、

毎日終電で帰宅、運動なんて全くしてなかったですからね。

 

もうね、酸欠ですよ。

 

気持ち悪くなっちゃって、もうたまらず、、、

「先生、もう駄目です、息切れします、死にそうなんで休みます。」

「なんだよ、ぜんぜんだめじゃねえか。。。」

はい、というわけで、あとは校長先生に任せて、

ウッドデッキで休憩です。苦笑

 

その日は半分くらいやってもらって、「よし、残りは明日だ!」とご帰宅されました。

もう、ほんと恐縮です。。。苦笑

でも、さすが校長先生ですよね。

僕の子供の頃も小学校の校長先生と言えば、芝生とペンキ塗りのプロでしたからね。苦笑

もちろん、そんなこと本人を前にして言えませんけど。

 

芝生は芝刈り機でなく刈払機で整えろ!

そんな感じで、最終的にはすごくきれいに芝生が出来上がります。

校長先生のおかげです。

 

でも、奇麗に芝生を貼ったら、そのあとメンテナンスはどうするんでしょう。

たぶん、芝刈り機ってホームセンターに売っているから、それできれいにするんでしょうね。

と、校長先生に、その話をしたら、そんなものいらない、とのこと。

 

なんと、芝生を刈払機で整えるそうです。

今でこそ当たり前のことですが、当時はその発想は皆無でした。

これを校長先生から教わらなかったら田舎での生き方変わったなというくらいのインパクトです。笑

 

でも当然、こんなもの持ってないですし、それに怪我しそうですし、怖すぎです。

と話したら、ウチに来いってことになり、校長先生の家へ行くことになりました。

 

なんと校長先生の家は、我が家の隣の隣だったんですねえ……。

普段は別の場所に住んでいて、たまにこっちに来るらしく、だから全員に挨拶した時に気が付かなかったんですねえ。

 

さて、すごく立派な日本建築の家に招待されました。

庭には、高そうな盆栽がいっぱい並んでいます。

すげえなあと思っていたら、「全部オレが手入れしたんだ」とのこと。

 

さらに庭の裏に出ると裏の山まで広々と奇麗な芝生が続いています。

そして、家の裏の日陰の部分は「コケ」がこれまた奇麗にびっしりと生えていました。

どうやったらこんな庭が作れるんだと、まさに「尊敬」の念が湧いてきました。

 

とくに、芝生には雑草の一つもありません、これはもう見事としか言いようがありません。

そしたら、「雑草は抜くんだよ。」とのこと。

なんと、一本ずつ抜くそうです。。。

 

なるほど、やっぱり手をかけないと、ここまで奇麗にはならないということなんですねえ、勉強になります。

いや、写真を撮っておけばよかったです。

 

刈払機で芝刈の練習

さて、続いて校長先生は、倉庫に案内してくれました。

そこには、いろんな道具が並んでます。

しかも、どれも綺麗です。

「道具は大切にしないといけないぞ。使ったらきれいに洗うんだ。」とのこと。

 

そして刈払機も3つくらい並んでいました。

なんでそんなにたくさんあるのかよくわかりませんが。苦笑

で、1台を手に取り、

「これで、この辺の芝生を刈ってみろ。練習だ!」

 

えーー、まじですか、そんなの今まで使ったこともないし、芝生を刈るってどうやってやるんでしょう?

「どうやって刈るんですか?」

するとまず校長先生が見本を見せてくれました。

芝生の上をなでるように刈払機を動かしていきます。

 

だいたい数センチくらいの高さを維持しながら、芝生の頭を刈って揃えていくんです。

「こっちはまだ刈ってない部分だから、おまえやってみろ。」

「はい、やってみます!」

もういきなりです、刈払機を地面におろした瞬間にごっそり、土ごと芝生を吹っ飛ばしてしまいました。。。泣

 

ゴルフで地面ごと「ざくっ」とボールを打つ時のような感じで、土ごと芝生が削れています。

「やべえ!!」 と思って先生の顔を見ると、

うわあぁ~、ヘタクソがぁ~」みたいな顔をしています。苦笑

 

まあ、続けてやってみろとのことで、15分くらい練習させていただき、なんとかひととおり終わりました。

かなり芝生をボロボロにしましたが、けっこう上達した感じがしました。笑

 

刈払機なんて農家の道具だと思ってましたが、校長先生のおかげで自分も欲しくなってしまいました。

このあと早速、刈払機をホームセンターに買いに行ったのは言うまでもありません。

というわけで、校長先生の指導はまだまだ続き、ついに僕は刈払機で芝生を上手に刈ることができるようになりました。

 

このおかげで、今住んでいる郊外の家でも、雑草を刈る時だけでなく芝生を刈る時などに刈払機を有効活用しいます。

まさに、校長先生のおかげなのです。

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